暇を持て余している(やることはあるけどやる気が起きずに後回しにしているの意)ので、生産管理と在庫管理の仕組みを変えてから1年くらい経った記念に今のやり方と経緯をまとめてみた、来年あたりに見返してこのときより良くなっていると思えたらOK
他の会社はどうやっているのかとか正解はなんなのかと調べようにも、検索キーワードが思い浮かばなかったりで見つからなかったので迷走している感もあるけど、いい方法を見つけたり思いついたら変える予定
生産管理と在庫管理を並べて書いたけど、生産から納品までの一連の流れのなかに在庫が出てくるだけなので、在庫管理と単独で語れるほどの内容じゃないよなと思うなどしている
●要約
- 目的:品質を向上&安定させて取引先とその顧客の満足度を上げる(その結果として売上を伸ばす)
- 目標:生産から3日以内の出荷
- 生産方針を「一定の在庫量まで生産」から「需要に合わせた生産」へ変えた
- 過去の出荷数を1週間ごとに集計して需要予測を作った
- 生産から納品までのリードタイムを短縮して商品の品質が上がった(と反応があった)
- 在庫は1/4から1/3まで減った
- 致命的な欠品は発生していないが、欠品リスクは上がってしまった
●取引や商品などの内容
ひとくちに生産管理といっても取引方法や商品の性質によってやり方が変わるはずなので簡単にまとめておく、読み飛ばしても問題ない
・取引
電話やメール、FAXなどで注文を受けて、佐川とヤマトを利用して発送する
注文の8割くらいは「明日欲しい」と言われるので受注当日に発送している
そのため、事前に出荷数が読めないという悩みがある
事前にきている注文でも出荷直前にキャンセルや変更されることも読めない要因になる
・商品
品目は10種類、使用期限は最長で3週間、7日以内が望ましい
時間経過で変化(後半は劣化)するため、現在(改善後)は生産から3日の出荷を目標としている
・生産
ロット単位で生産して完成品を在庫として持っている(MTS方式)
材料を一定以上入れないと機械がうまく動かないためロットサイズは変更不可
また、生産準備のため午後には翌日の生産内容を決めておく必要がある
・需要と供給のバランス
供給が勝っている
平時はフル稼働で生産すると大量に在庫が残る、ただし繁忙期はフル稼働で生産しても少し足りない
そのため、生産管理する際は「余っている」「作り過ぎている」の視点でチェックすることが多い
●変更前の生産管理
何も考えてないんじゃないかとしか言えないけど、それだと何の説明にもならないので予想して書く
過去に最も出荷が多かった時を基準にして、その出荷量でも在庫に余裕があるラインまで貯めている
取引先が廃業するなどで商品の需要が下がっていても基準を変更していないため大量の在庫を抱えてしまっている
その結果、使用期限を超えた4週間以上経ったものを出荷したり、カビが生えてしまうなど品質上の問題も出ている(経過日数の他に、生産ラインの汚れがひどいのが原因で汚れやカビが付いていた)
●生産管理の改善方針を立てる
まず取引先へ商品の問題点がないかアンケートを取った
挙がった中から「商品のブレが大きく加工が難しい」、「加工に時間がかかる」の2つを重点ポイントとした
また、過去にカビが生えていたとクレームがあったことも改善が必要な重点ポイントとした
次にこれら3つの重点ポイントについて原因を考えた
ブレ=生産からの経過日数の違い、加工時間の長さ=経過日数の長さ、カビの増殖=経過日数の長さと予想した
そこで、生産から2~4週間で出荷していたのが共通する原因として、改善方針を「商品を取引先で7日以内に使用する」と決めた
※製造工程とかも改善したけど省略
●生産管理の方法を考える
商品を取引先で7日以内に使用するためには、発送や納品後に実際に使用するまでのリードタイムを差し引くと生産から3日で出荷して、出荷する商品の生産からの日数がブレないようにする必要がある
そのためには、需要がいくつあるのかを知る必要があった
生産から3日で出荷する方針を言い換えると「1日1ロット生産する場合は、今後3日間で出荷する量だけ在庫を持つ」となるので
誤差は1ロット以内の需要予測と、それに合わせた生産スケジュールの組み立てを考えることにした
●需要予測の方法を考える
体感で需要が安定している(今年は100、去年は5,000、2年前は50のような大きなブレがない)ため、過去の出荷データをもとに需要予測を立てることにした
うちの商品の特徴に商品Aと商品Bは色や大きさが少し違うくらいで素材としてはまったく同じというのがある
例えば、「夏は商品Aがよく売れて冬は商品Bが売れる」や「メニュー構成を変えたら商品Aが売れるようになった」など、商品ごとの出荷比率は変わっていても出荷総数は同じだったりする
そこで、「取引先の需要」と「取引先の商品ごとの需要」の2段階に分けて需要予測を算出することにした
・取引先の需要
取引先の出荷総数(取扱商品をすべて合算)を1週間ごと(1/1~1/7、1/8~1/14、1/15~1/21…)に集計する
それを過去5年ぶん調べて、経年の傾向をもとに来年の出荷数予想を「勘」で決める
1週間で区切ることで、祝日や地域のイベント、取引先のキャンペーンなどの傾向を拾える
※勘は、毎年1%下がってるから来年も1%下がるかなとか、上下してるから平均にしようかなみたいなざっくりした決め方
・取引先の商品の需要
取引先の商品ごとの出荷数を1週間ごと(1/1~1/7、1/8~1/14、1/15~1/21…)に集計して、商品ごとの出荷比率を計算する(商品Aは40%、商品Bは60%など)
それを過去5年ぶん調べて、経年の傾向をもとに来年の出荷比率予想を「勘」で決める
・最終的な需要予測
取引先の出荷総数に出荷比率をかけると「取引先のこの商品は第何週にいくつ出荷」と予測が立つ
この予測をすべての取引先で作り合算すると商品ごとの需要予測が完成する
このままでは1日単位で管理できないため曜日ごとに振り分けます
商品ごとに1ヶ月の出荷数を曜日ごとに集計して出荷割合を計算、それを過去6ヵ月か1年ぶん出して平均します
出荷数に曜日ごとの割合をかけると、「この商品は第何週の何曜日にいくつ出荷」まで出てきます
●生産計画を立てる
需要予測が立ったので生産計画を作ります
ちなみに、1月の需要予測と実際の出荷数の差をいくつか挙げると「-100、800、150、-500、-2000」でした、悪くない数字だと思ってます
※生産数が決まれば資材の消費量がある程度は分かるので、資材の在庫と連動させて発注タイミングもいっしょに決めるようにします
・手順
1.商品ごとにカレンダーを作ります
2.生産の列に需要予測の結果を貼り付けます
3.在庫を「前日の在庫-今日の出荷+前日の生産」で計算します(生産当日にその商品を出荷できないため1日ずらしてます、少し無理をすれば生産当日に出荷できるので欠品防止の安全策も兼ねてます)
4.生産数を決めます(生産から3日の出荷が目標なので、例えば水曜日と日曜日の在庫が今後3日分になってるかチェックしながら生産数を入力します、ただし、最初は4,5日ぶんの在庫を持って半年くらい回して予測が信用できるのを確認してから徐々に3日へ近づけていきます)
5.その日の終わりに実際の出荷数と生産数を入力します、予想との差をチェックして必要に応じて生産数を調整します
・完成イメージ
商品A
日付 | 週 | 出荷 | 生産 | 在庫 | ◆ | 出荷予想 | 差 | 生産予想 | 差 |
1/1(水) | 1 | 200 | 0 | 1500 | ◆ | 200 | 0 | 0 | 0 |
1/2(木) | 1 | 400 | 500 | 1100 | ◆ | 400 | 0 | 500 | 0 |
1/3(金) | 1 | 500 | 0 | 1100 | ◆ | 500 | 0 | 0 | 0 |
1/4(土) | 1 | 400 | 500 | 700 | ◆ | 400 | 0 | 500 | 0 |
1/5(日) | 1 | 100 | 500 | 1100 | ◆ | 100 | 0 | 500 | 0 |
●生産管理を運用する
生産計画に基づいて生産していきます
ここで大事なのは予測は当たらないということです
日々の終わりに実際の出荷数と生産数を生産計画へ反映させたり、明日の出荷数を予想してみて本当にこの計画で問題ないのかつねにチェックします
もし、予想と大きくずれるのが続いていれば、どの取引先がずれているのか調べて需要予測をやり直します
・まとめ
- 来年に向けた準備
- 需要予測を立てる
- 生産計画を立てる
- 日々の作業
- 実際の出荷数と生産数を記録する
- 先の発注が見えていれば先の出荷数を入力してみる
- 予測とずれている場合は、必要に応じて生産計画を調整する
- 生産計画を調整したら、資材の発注タイミングもチェックする
- イレギュラーな作業
- 取引先の増減や商品の変更があれば需要予測を再計算する
そんな感じです